大人のフッ素塗布の効果は?
- 2023年3月2日
- 歯科治療
大人のフッ素塗布の効果は?
日々患者様ご自身で行なっていただくブラッシング、口腔ケアと歯科医院で行う口腔衛生管理(歯石除去)はどちらとも重要になってきます。その他予防の一つとしてフッ素塗布があります。フッ素は歯の質を強くする効果があるため口腔衛生管理をする上で歯の質を強くすることも予防の一つになります。しかし、現在のところフッ素塗布の適応があるのは以下の症例になります。保険適応がない場合には自費で行う治療ということになると思います。理由も記載いたします
1、小児の患者様。小児の歯は幼弱な歯であるために虫歯になりやすいですがその分比較的フッ素を取り込ませやすいため、フッ素により歯質を強化して虫歯予防を目的とします。
2、65歳以上の方で歯の根が露出傾向にあり、根の周りの虫歯になりやすい患者様。歯の根の周り(根面と呼びます)はエナメル質ではなくセメント質であるため柔らかく虫歯になりやすいためフッ素で歯質を強化して虫歯を予防します。
フッ素塗布は高濃度の2%(フッ化イオン濃度として9000ppm)を使用し、歯科医院で年に2回以上行わないと効果が期待できません。1回では効果はないと言われています。
通常の成人で虫歯のリスクが少ない患者様はフッ素塗布の保険適応はありません。成熟した永久歯はフッ素をあまり取り込まないとも報告されています。しかし、さまざまな症例を長期間見させていただくと成人の成熟した永久歯であっても3ヶ月ごとに歯科で歯石除去、フッ素塗布を行なっていると虫歯にもなりにくいような気もします(データがまったくなく印象だけですので本当にweb log的な内容になっています。参考文献、その他参照すると永久歯に対する予防効果は20-30%であると報告されています)。ただその虫歯になりにくいとの印象は、3ヶ月ごとの定期的な口腔衛生管理か、あるいはフッ素塗布のどちらが奏功しているのかがよくわかりません。また患者様自身の毎日のブラッシングにももちろん大きく影響されます
重要だと思うこと
1、毎日プラーク(細菌の塊)を落とすことができるブラッシングの方法を身につけること、ご自身で困難な場合にはブラッシングをしてもらえる環境を作っていただくこと。
2、細菌の塊が歯石になったら歯石除去を早めに行うこと
3、幼弱永久歯の時には虫歯になりやすく口腔衛生管理が必要。早く効果的なブラッシングを身につけましょう。フッ素による歯質強化も有効。
口の中は細菌感染をどのようにコントロールしていくか、感染しないようにこちらがどのように防御するかがポイントになると思います。
参考文献 成人におけるフッ化物応用におけるう蝕予防効果
口腔衛生学会雑誌 47巻3号 Page 281-291