笑気吸入鎮静法
- 2023年1月18日
- 鎮静法
笑気吸入鎮静法
1、笑気吸入鎮静法とは
2、全身麻酔との違い、特徴
1、笑気吸入鎮静法とは
笑気吸入鎮静法は、亜酸化窒素と酸素を吸入し肺から血液中に拡散して作用をもたらします。口の治療の場合には口から笑気を吸入するわけにはいきませんので、鼻マスクをつけて吸入してもらいます。そのため鼻から吸入することができない患者様には使用することができません。笑気吸入鎮静法ですが、一般的に外科手術で施行される全身麻酔とは全く異なるものです。全身麻酔の場合には、患者様と術者のために、患者様の意識がない、痛みがない、動かない、と3つの条件が必要となります。実際にはこの3つの目的を達成するために全身麻酔実施時には筋弛緩薬など色々な薬を使用しますし、呼吸や循環など人間のいろんな機能が低下します。しかし、笑気吸入鎮静法は鎮静ですので、意識はある、痛みは感じる、動くことができる、ということになります。ただ、亜酸化窒素の効果により、意識はあるが恐怖心がなくなる、痛みの感じ方が少し抑制される、術者の指示に従ってくれるなど利点があります。笑気吸入鎮静法は筋弛緩薬を使用しませんので嘔吐反射が消失することありませんが、精神的な面から嘔吐反射が出にくくなる場合もあります。実際に行ってみても、恐怖心がなくなることで落ち着いて治療ができる、眠くなり治療時間が短く感じる、などのコメントをいただいています。また血圧などを測定していますがほとんど変動はなく緊張が取れるために安定する傾向になります。術中には面白くない話に笑ってしまう、お酒を飲んだようにポカポカしてボーとする、などもみられます。とにかく歯科治療はできるだけ全身的なリスクが少なく患者様の動きがなくなり治療ができることが重要になります。
2、全身麻酔との違い、特徴
笑気吸入鎮静法
○意識がある。
○呼吸、循環抑制はほとんどない。
○麻酔医がいなくとも使用は容易。
○生体モニタリングは必要。なくても意識の確認はできる場合はある。
○反射は消失しない。
○すぐに帰宅できる。
全身麻酔
○意識はない。基本、意識があると麻酔の失敗になる。
○呼吸、循環抑制は基本考慮する必要あり。
○挿管や循環動態をコントロールする薬を使用する場合が多い。
○生体モニタリングは必須。
○麻酔医のもとで行うべき手法。
○反射を消失させることが可能(筋弛緩薬を使用する)。
○半日ほど経過して十分覚醒して安全を確かめてから。呼吸循環が完全に回復していること、嚥下機能が回復し飲食ができることを確認してから帰宅。自立歩行できる患者様は歩行が問題ないことも確認します。
いろいろな疾患を抱えていらっしゃる患者様が多い中、できるだけ快適に、また安全に歯科治療を行うこと、また医学的な様々な知識・技術を使用して歯科医療を提供することを目指しています。
参考文献:TEXT麻酔・蘇生学、南山堂