口腔管理
- 2022年11月24日
- 歯科治療
口腔管理
せっかくのweb logなので日記風に書いてみます。
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人生100年時代
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人生100年歯科医療
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人生100年口腔管理
1、人生100年時代
人生100年時代構想会議で、ある海外の研究では2007年生まれの子供たちは107歳が平均寿命になると報告しています。近年日本は “少子高齢の社会に備えて、老いも若きも学び直しや仕事など活躍できる社会にしましょう” (厚生労働省ホームページ参照)という概念を打ち立てました。労働者人口の減少もあるので、老いも若きも “元気にある程度健康を維持して” 勉強して働きましょう、という内容であると勝手に解釈しています。ある程度健康でなければやはり体が動かず仕事ができません。わたくし自身も偏頭痛持ちで少し頭が重いだけでも元気が出ませんし、仕事の能率が落ちるのを痛感します。ぎっくり腰にも頻繁になりますが、ぎっくり腰も痛みがなければ動けると思います。歯の痛みも同じだと思います。30年前に大学で歯を抜歯してから矯正をするとなったときに実験的に無麻酔で神経近くまで削ってもらいその後その歯に麻酔をして抜歯してもらいました。その時の頭に響くような鋭い痛みは耐えられず涙ぐんでしまいました。そう考えると、痛みなく生活できるというのがある程度の健康になるのかなと思います。歯がグラグラで痛い、腫れて痛いので歯科医院に来ましたという患者様の主訴も多いですし、局所麻酔なしでの歯の治療は患者様に苦痛を与えますので全く治療が進みません。麻酔薬の発見は患者様の苦痛の除去につながっており本当に医学の進歩には感謝しかありません。
2、人生100年歯科医療
人生100年時代を支えるために、僭越ながら歯科の役割を考えました。結局、口の中も痛みがないように維持していただくということになるかと思います。痛みは体の異常を示す警告ですので、痛みが出たらすでに何かが起こっていることになります。虫歯、歯周病を含めて口の中の病気の多くは細菌による慢性感染症と炎症によって起こります。しかし、慢性的に進行する場合が多いので痛みが出てからでは、抜歯(歯を抜く)、複数回の長時間の治療が必要になる場合もあります。痛みが出たら内科的に薬で治すではなく、削る・神経をとる・ 抜歯するという外科的な処置が多くなります(基本歯科は外科系です)。その後無くなった構造物を人工物で形作ることになりますが、人工物を義足や義眼と同じように考えると元のように噛めることは難しいはずです(図1)。人生100年時代の歯科医療の一つに痛みを出さない、出す前になんとかする口腔管理・治療ではないかと考えています。もちろんそこには歯科治療に対する精神的な苦痛の除去もあると思います。
図1
3、人生100年口腔管理
痛みが出ないように管理する=予防、がメインになります。虫歯にならなければ削る必要もありません。歯周病にならなければ歯がグラグラになり出血や排膿で悩むことも少なくなります。予防に関して言えば、歯科医師や歯科衛生士の1−3ヶ月に一度できることが限られていますので、日頃のご自身・保護者様などの毎日のブラッシングが重要になります。それは幼少期から高齢者まで全ての方に当てはまります。もちろん口に問題が起これば積極的に歯科治療を行う必要がありますが、人生のどのようなライフステージにおいても口から問題を起こさない、口の疾患が全身に影響を与えないように人生を過ごしていただくことを目標にしています。例えば、小児であれば乳歯が虫歯になって抜歯となり、永久歯のスペースがなくなり歯並びが悪化し噛み合わせが不正となり矯正を行う必要が出てくるかもしれません。がんの手術を行うことになって前歯がグラグラであれば、全身麻酔を実施していただく麻酔医の先生も前歯が取れるかもしれないので全身麻酔の挿管(管を口から気管に入れる操作)に不安要素が残ります。またグラグラの歯はそこに細菌が増殖していることが多く細菌自体が全身に飛んで術後感染の原因になる可能性があり、その場合には全身状態を考慮すると抜歯がベストの選択という提示させていただくこともあります(図2)。
図2