2人に1人罹患する病気は何?
- 2024年5月9日
- 全身疾患
答えはがんです。
高齢社会の日本では現在2人に1人はがんに罹患します。私が幼少の頃はがんになったら不治の病で死んでしまう印象がありました。しかし、がんの種類などにより変動しますが医療の発達によりがんの5年生存率も高くなってきています。つまりがんになっても外科手術・放射線療法・薬物療法により治療を行い、できるだけ動けるように健康を維持することが必要になってきます。
国立がんセンターがん統計より
5年生存率
そのような高齢化の波に対応し、歯科も健康の維持に貢献する役割が求められます。
これからの歯科は何をすべきか?
歯科は鎖骨から上・眼窩下から下(簡単に言えば口です)を専門にするため頭頸部付近のがん以外は関係ないと思う人も多いかもしれません(国立がんセンターがん統計によると頭頸部がんは全体のがんの3%であり実際少数です)。しかし、なんらかの重度の病気に罹患した場合には歯科は生活の質のサポートを行うことになります。
確かに、前立腺がんなどがんの治療について言えば直接関係しない場合が多いのですが、口の感染を広げないことや口から食べることが生活の質として重要だと考えると密接に関わってきます。どんな入院でも同じで、手術して退院になるときに口から物を食べることができること(経口摂取)が退院の目安になります。
人間は口から栄養をとってエネルギーを確保し、食べる楽しみを得る(日本国憲法25条:健康で文化的な最低限度の生活を保障、に入るかどうかはわかりませんが)ことが生きていく上で重要となり、それをサポートするため歯科があると考えています。
口の管理について言えば、病気になってからの歯科治療や口腔衛生管理では遅い場合が多くなります。それは慢性感染症で長い期間かけて感染が進行してきたものを2−3ヶ月で完治させることが難しいためです。幼少期から正しいブラッシングを行い、ある程度の口の状態を保ち歯周病・虫歯などの感染をコントロールしておけば、病気で入院・手術などを行う場合でもその時点で抜歯しなければいけない歯があったという状況にならないようにできれば理想だと思います。そうならないように管理をして、食べる楽しみを継続できるようにします。歯科はとにかく継続管理が必要で定期的に歯石を取り正しくブラッシングする、痛くなったから、何かあってから来院だと治療も何回もかかってしまいますし体に負担もかかります。また小さな虫歯であれば削らないでフッ素塗布やブラッシングで経過を見ることも可能になります。
歯を失う原因の第1位は歯周病で37%、55歳以上では6割ほどが歯周病に罹患していると言われています。歯科医師の偏見で書いていますが、歯を失うと食べる楽しみも減ってしまうのでやはり積極的に清掃は行ったほうが良いと思います。
人生100年時代で長期間生きれば、体の機能は低下し時には病気になります。生活の質を維持することは個人でできることを工夫して行なっていくことが必要かもしれません。