顎骨壊死
- 2024年11月3日
- 歯科衛生士国家試験
なぜ骨粗鬆症の薬が歯科で問題になるのか?
骨粗鬆症、がん骨転移の患者様のQOLを守ろう。
顎骨壊死について。
歯科衛生士さんにとっても重要な課題、国家試験でも問われます。
骨粗鬆症の薬はなぜ歯科では要注意か?
それは顎骨壊死になるリスクが高いからです。
顎骨壊死にならないように
内科、整形外科と歯科との協力が必要。
連携なしで患者様のQOLは守れません。
ここで骨粗鬆症の薬と書きましたが、がんの骨転移に対しても骨を強くする薬は使います。骨転移すると骨が脆くなるので骨折しないように強くする必要があります。整形外科からだけではなく内科がん担当の先生からも使用される場合があります。
骨粗鬆症の薬で顎骨壊死のリスクに関わるものはビスフォスフォネート製剤と抗RANKL(ランクル)抗体(デノスマブ)があります→これらは骨を強くします。
ではなぜ強くなるのか? 強くするのではなく破骨細胞の活動を停止させたり、その細胞死を起こすので骨芽細胞の活動が優位になリます(図1:破骨細胞と骨芽細胞の特徴は要チェック。このサイクルを骨のリモデリングといいます)。骨の改造速度を変化させます。
図1、破骨細胞と骨芽細胞
結果、新しい骨が蓄積する様になります。しかし、口の中は細菌数が多く感染しやすいため、蓄積した骨が露出して感染すると破骨細胞はそれを吸収しないので、ずっと溜まり続けて色んな症状を起こします。簡単にいうとこれが顎骨壊死の不快な症状の原因になります。
症状としては排膿・疼痛・瘻孔などで、食事は美味しくありません。そのためQOLが低下します。口の中を感染しにくくして顎骨壊死を発症させないように口腔衛生管理をするのが歯科の役割になります。(歯科衛生士さんの役割が大切)。他科でどのような薬を使っているか知る必要があります。
このような背景があるので国家試験にも顎骨壊死の問題が出ます。
骨のリモデリングで、脱灰して骨基質を吸収するのはどれか。
a.骨細胞
b.骨芽細胞
c.破骨細胞
d.マクロファージ
ビスフォスフォネートやデノスマブ製剤が投与されている可能性のある疾患はどれか。
a. 脳梗塞
b.高血圧症
c.骨粗鬆症
d.気管支炎
70歳の女性。左下顎小臼歯部の自発痛を主訴として来院した。9年前に乳がんと診断され外科的切除を受けた。その後、骨転移を認めビスフォスフォネート製剤の投与を受けていた。どの様な症状が認められるか。二つ選べ。
(顎骨壊死の症状は?)
a.腐骨
b.瘻孔
c.扁平たいせん
d.エプーリス
答えわかりましたか?
細胞と薬理作用の知識が臨床をサポートします。