バイタルサイン(心臓と肺は歯科でも重要)
- 2024年11月4日
- 歯科衛生士国家試験
なぜバイタルサインが重要か?
バイタルサインは簡単にいうと脳・心臓・肺の機能を示します。
人間が生活するのに必須だからです。
バイタルサイン5つ。上から順番に重要になります。
a. 意識(脳が働いているか、脳に酸素と栄養が送られているか)
b.脈拍(心臓が動いて血液が流れているか)
c.呼吸(酸素が取り込まれているか)
d.血圧(血流がどれくらい維持されているか)
e.体温(循環があるか、感染兆候がないか)
いつも患者様とお話しして意識するだけで1−5の一部がわかります。
歯科も人間の生活に深く関わっています。
歯科は摂食や審美を通してQOLを維持することになります。
バイタルサインとは?
人間の生きている証拠。どれくらい体がうまく保たれているか判断できます。
心臓と肺は循環と酸素・二酸化炭素の換気を通して細胞を維持します。
歯科は摂食を通して栄養の取り込みをサポートしています。
口は食道の一部ですが、気道と近く口の中にある歯周病細菌などが気道を通して肺に入ってしまうと誤嚥性肺炎を起こします。口腔衛生管理は誤嚥性肺炎予防のためにも重要になります。肺機能維持にも関係します。
意識レベルの判別にはJCS(Japan Coma Scale)を覚えよう。
80歳の女性。脳梗塞のために入院中である。歯科衛生士が口腔健康管理を実施することになった。患者の状態は、目を閉じており普通の呼びかけでは開眼せず、大きな声で刺激すると覚醒した。
JCSはどれか1つ選べ。
a. I-1
b. I-2
c. II-20
d. III-100
基本意識レベルが安定しなければ主治医に状態を聞いて口腔衛生管理を行なって大丈夫か
誤嚥を起こしやすかなど確認して対応できるように準備してから実施します。外来では患者様と挨拶し、状態を確認してから治療が始まります。挨拶でしっかり返ってくることだけでも意識の確認をしていることになります。一方、訪問診療では意識レベルの確認が難しい場合があります。その場合、意識レベルの低下している患者様の治療をしていることを認識しましょう。訪問診療、全身麻酔や静脈内鎮静法では意識レベルが低下することが多いためバイタルサインは適宜確認する必要があり、リスクの高い治療となります。
I. 刺激なしでも覚醒(開眼している)
II.刺激ありで開眼する
III.刺激しても開眼しない
開眼するかどうかでI-IIIレベルが分かれます。
診療前の検査項目と測定値の組み合わせで異常値を示すのはどれか。2つ選べ。
a.SpO2→89%
b.脈拍数→140回/分
c.腋下温度→9℃
d.収縮期血圧→125mmHg
診療前の検査項目と測定値の組み合わせで異常値を示すのはどれか。2つ選べ。
a.SpO2→89%(SpO2: 動脈酸素飽和度、基準範囲95%以上)
b.脈拍数→140回/分(血液が送られている回数、基準範囲60-100回/分成人)
c.腋下温度→36.9℃(体温:感染や免疫力に関係、感染すると感染に対抗して免疫力を高めるために高くなる。基準範囲37.5℃以下ぐらい)
d.収縮期血圧→125mmHg(収縮期は上で心臓が収縮する時の圧、拡張期は下で心臓が拡張した時の圧、基準範囲140mmHg/90mmHg以下)
バイタルサインを少し気にするだけで、全身状態がわかります。
歯が痛くて38℃ぐらい発熱していれば口腔由来の感染であり、バイタルサインも発熱、脈が早く血圧も上昇していることがあります。