1. 健康リスクと人生の楽しみ

     2.ある歯科医師の心の安らぎ

ペスト、インフルエンザ、Covid-19など感染症のコントロールは人類の歴史となっています。口の病気も簡単には慢性感染症と考えて良いと思います。口は37度に保たれ、細菌の栄養分も豊富にあるので細菌の増殖は早くなります。昔ある研究に参加した時に何日間か歯を磨かないで耐えて細菌を増殖させるという実験があり、これはかなり辛い状態になります。もちろんご飯を食べても美味しくはなく、なんかどろどろした感じがしてさらに細菌の上塗りをしているような感覚です。一方で、ご飯を食べた後にすぐに歯を磨くのも余韻に浸る時間がないのでこれはこれであじけない。歯科的にはすぐに歯を磨いた方が、細菌数とその栄養素が減少するので、細菌が増殖する速度は鈍るはずです。

 

 

1.健康リスクと人生の楽しみ

人生にはいろんな楽しみがあると思います。タバコ、お酒は合法です。しかし、歯周病、健康のためにタバコは吸わない方が良いですし、お酒もある程度に抑えたほうが健康に良いに決まっています。口の健康を保つことは歯科医師としては重要だと思いますが、その人の人生にとっては何に重きを置くかで変わってくると思います。どれだけ節制するのか、禁欲と節制することが健康にとって良くても、人生にとって最良かはよくわかりません。タバコ、お酒をやめたことでストレスがさらに溜まったりすることもあるでしょう。正確な情報ではないかもしれませんが、ある国の多くの人は、美味しい料理が食べることができるなら健康に多少影響があっても致し方ない、また他の国では医療費が高いからランニングをしてできるだけ医者にかからないようにする、健康というよりお金が掛からなくすることを重要視する考えもあるようです。

口はもちろん自身の体ですので最終的にはどのように口の状態を持ってきて維持するかは、患者様の意志にも関わってくると思います。そのお手伝いはできると思いますが、結局、歯科医師と患者様共に状態を把握して目標に向かっていく必要があると思います。

 

 

2. ある歯科医師の心の安らぎ

患者様は一緒に治療しているパートナーのようなものですので歯科医師、歯科衛生士としてはやはり患者様の口の状態が良くなって笑顔が見れた時、調子がいいです、というコメントが一番安心します。なかなか良くならない、あるいは痛い、しみるのが治らない、詰め物が取れた、と聞くとどうなったかなあ、と自分の精神状態も悪化して目覚めが悪くなります。心の安らぎは患者様の口と精神状態の安らぎに左右される、自分の口より他人の口が気になってしまうのは歯科医療従事者であれば一生逃れられないことなのかもしれません。