全身状態と口
- 2024年11月1日
- 全身疾患
全身状態と口
20年前までは歯科医師は歯科専門のことだけ、つまり虫歯を治療して入れ歯を作って終わり、という診療がほとんどでした。またインプラントもまだ始まったばっかりでここまで治療が発展し患者様にneedsが広がるとは思っていませんでした。
最近思うことは、全身の状態は口にも影響するということです。歯科医師はもちろん医師ではないので高血圧や糖尿病などについて診療することはありませんし、歯科に関係しない薬の処方もできません。しかし、歯科衛生士国家試験には糖尿病の重症度と歯周病の関係や心臓の疾患で歯科治療の時に留意すべき問題なども散見されますし、高齢社会では疾患のある患者様を治療することが多くなります。
3ヶ月に1度口の中の歯石除去をすることで患者様の健康状態や体にどのような変化があったかなどが把握できます。かかりつけ歯科医にとって患者様の全身状態を含む変化を診ることができること、その時に順調ですという言葉が聞けることは何よりも幸せなのかもしれません。一方、3ヶ月に1度診療するので、病気になって入院したので来ることができません というような連絡をいただく場合などは早く退院できるかな というような心配事が増えます。患者様の全身状態によっても歯科医師はどの程度の歯科治療を行なっていくか判断する必要があります。例えば全て悪い歯を抜いて全てインプラントにすればその時点では完璧な治療になりますがそれが人生最期まで維持できるか判断しなければいけません。
歯科医師は、歯科だけでなく内科の疾患も知ることは高齢社会で疾患を持つ患者様を診療するようになった今、自然な成り行きなのかもしれません。