抜歯適応の歯はどうする?
- 2025年4月24日
- お知らせ
歯科医療を勉強した人間から見てどうしても残らない(残せない)歯というものはあります。根が折れている(根が折れているとそこから感染して歯がグラグラになって被せ物が維持できません)、歯周病で骨がなくなってグラグラしている、などは抜歯しなければいけない歯ということになっています。
ただそのような状態の歯でも炎症や感染などなく全身に影響を与えず痛みがなければ残して良い場合もあると思います。しかし、それは残した場合のリスクを理解した上での対応ということになります。歯やいろんな器官は患者様のものですので、どうするかの選択肢とリスク説明は行いますが、最終的にはご自身で決定する必要があります(説明と同意)。がんであっても手術するか、化学療法にするか、放射線治療をするか、すべて行うか、経過観察するか、患者様は自分で判断し治療に同意をしなければなりません。
歯科口腔保健の推進に関する法律に記載がありますが、口の定期的な管理は国民の努力義務になります。自ら口を管理して良好に保つようにしましょうと規定されています。ただいろんな身体的な状況により自分で口の管理が困難な方にはスペシャルケア(特別対応)が必要になってきます。
日本は人生100年時代、80歳で20本残すことを目標にしているため高齢になっても歯が残る傾向になっています。ただどのような状態で残っているかが重要になります。特別対応が必要で歯が残っていると炎症や感染で状態不良な歯がいっぱいある場合には、誤嚥性肺炎の原因になります。肺炎は難治性ですし肺機能の低下は重篤な全身状態QOLの低下を引き起こします。こうなると何を優先するかになり、肺炎予防や感染予防がトップに来るので歯を抜歯するということになってしまいます。
口の管理は日々のブラッシングで習慣だと思います。どんなに良い詰め物、入れ歯やインプラントを入れたとしても適切なブラッシングをしなければ80歳になって高価な歯科材料だけがそのまま残って、その周りが感染して歯が虫歯、歯周病で維持できない状態になり誤嚥性肺炎を誘発する可能性があります。
もし特別対応が必要であったとしてもブラッシングだけでも継続してできれば口の中は状態良く保てると思います。歯科治療で削るは痛いかもしれませんがブラッシングは痛くなくできるので、どのような状態になっても
適切なブラッシング継続
が重要なのではないでしょうか。ブラッシングで健康を保つを目標にしています。