鎮静法
- 2022年10月4日
- 鎮静法
鎮静法
歯科治療恐怖症
歯科治療が苦手な方は多くいらっしゃると思いますが、その理由はさまざまです。音が嫌い、長時間口を開けているのがつらい、痛みに敏感、などあるかと思います。また、私たちのデータでは歯科治療中の血圧はユニットに座った安静時の状態から2割ほど上昇することもわかっており(久保田一政、猪越正直、上田圭織、山賀栄次郎. 高齢者における循環器疾患とデンタルストレス:血圧変動を指標として 2020.11.08. 日本老年歯科医学会、東京web開催 シンポジウム)歯科治療は体にストレスを与えています。そのような中でも緊張する患者様や歯科治療恐怖症と診断されるような患者様には鎮静法があります。
鎮静法の種類
静脈内鎮静法
鎮静法には吸入鎮静法と静脈内鎮静法がありますが、静脈内鎮静法は点滴確保を行い、鎮静薬の血中濃度をコントロールするので効果は確実になりますが、薬の副作用も強くでます。静脈内鎮静法では呼吸抑制(呼吸をしなくなる)などの副作用・リスクがあり、麻酔医のもと施行するのが安全です(安全確保のため時間もコストも必要になります)。全身疾患によっては鎮静の深度を上手く調節する必要があります。
笑気吸入鎮静法
笑気吸入鎮静法は笑気を鼻から吸入して鎮静する方法です。歯科は口の治療ですので鼻から笑気を吸入できなければ鎮静状態は得られません。また意識は完全に残り、笑いたくなる、お酒を飲んだように朗らかになる効果があると言われます。呼吸抑制などはほとんどありませんがやはり血圧など生体モニタリングは行います。
両者ともにあくまで鎮静ですので意識は基本的に残り、痛みもある程度は感じますので歯科治療時には適宜局所麻酔の必要性を判断します。眠っている間に歯科治療ができるということではなくぼーとしている間にという表現があっていると思われます。程度に差がありますが、緊張はとれることが多いと思います。
参考文献: TEXT麻酔・蘇生学 南山堂