薬剤性顎骨壊死予防|くぼた歯科クリニック|三鷹市にある歯医者

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薬剤性顎骨壊死予防|くぼた歯科クリニック|三鷹市にある歯医者

薬剤性顎骨壊死予防

参考文献の2016年顎骨壊死ポジションペーパーは改訂予定です。

1、骨粗鬆症薬/骨修飾薬

2、口腔管理

3、医科歯科連携

1、骨粗鬆症薬/骨修飾薬

骨粗鬆症は骨を形成する細胞(骨芽細胞)と骨を破壊する細胞(破骨細胞)のバランスが崩れることにより骨が脆くなります。破骨細胞は状態の悪い骨などを吸収しその後、正常な骨ができるように骨芽細胞が働きます。また、がんの骨転移ではがん細胞の骨への浸潤などにより骨が脆くなります。骨粗鬆症薬/骨修飾薬は骨粗鬆症やがんの骨転移などにより骨が脆くなり骨折するリスクが高くなるため、予防をメインに投与・処方され、患者様のQOLを保つために重要な薬です。その薬の中でもビスフォスフォネート(BP)製剤と抗RANKL抗体は合併症の一つとして薬剤性顎骨壊死(MRONJ)を発症すると報告されています。顎骨壊死は口の中に骨が露出、神経の痛み、排膿が継続するなどの症状が8週間以上継続し、なかなか治癒しない病態です。患者様に伺うととにかく食事が美味しくない、痛みがあるということでやはりQOLに大きく影響します。2016年の顎骨壊死ポジションペーパーでは骨粗鬆症の患者樣は0.001-0.01%、がんの骨転移の患者様は1.3-1.8%の確率で発症すると報告されています。発症の原因としては、BP製剤、抗RANKL抗体ともに破骨細胞の機能を低下させるので、感染した顎の骨がうまく吸収されずそのまま残ることが一つの理由になります。

2、口腔管理

薬剤性顎骨壊死を起こさないためには、とにかく口の中に感染を起こさない、できるだけ口の中の細菌数を減少させ清潔に保つことが必要です。口の中の病気は簡単にいうと細菌による慢性感染症で徐々に進行する傾向があります。口の中に何も問題が起きていない幼少期から口の管理をしっかり行っていく必要があります。60歳、70歳になって骨粗鬆症薬や骨修飾薬を使う段階で初めて口の中を歯科に診てもらうとなると骨修飾薬/骨粗鬆症薬を使用する整形外科、内科の先生も合併症が気になり投与について患者樣と検討を要する時間が必要になってきます。MRONJ予防のためにはどうしても感染しており抜歯が必要な歯があるかもしれません。全身的な疾患をうまくコントロールするためには合併症予防が重要となります。口の中の管理をできない状態となると食事の摂取や感染などから全身の管理も難しくなる傾向があります。

3、医科歯科連携

現在医科と歯科は総合病院以外、ほぼ別々のところで診療がされています。しかし、医科歯科で連携を行い患者様のQOLを維持するという目標は変わらないはずです。程度の差はありますが、骨折を起こして寝たきりになってしまうことも、MRONJを発症してご飯が美味しくない、排膿に悩まされることも、予防すべき合併症であると思います。MRONJに関しては医科歯科連携がさらに重要であると考えています。

口は細菌やウイルスの侵入経路になりますし、37度に常に保たれていますので2のn乗で細菌は増殖していきます。1時間に1回分裂するとしても24時間経つと1つの細菌が16777216個にもなります。1年前に歯科治療したのにまた虫歯、歯周病になっているというのはよく起こることだと思います。ブラッシングがうまくなりプラークを落とせるようになるだけで感染リスクも低下します。ブラッシングと定期検診は面倒で費用が必要ですが自分の口、体を維持するために必要なことかもしれません。また歯石はどんなに磨いても付着してしまうので歯科医院で歯石除去は行う必要があります。同時に初期に虫歯などが発見されれば治療時間、侵襲、治療費が少なくて済みます。

 疾患はなんでも同じですが早期発見、予防、継続管理が重要になります。歯科の疾患も同じではないでしょうか。