先も述べた通り

歯科用局所麻酔薬は３種類あります。

 

1. エピネフリン（アドレナリン）含有リドカイン
2. フェリプレシン（オクタプレシン）含有プロピトカイン
3. メピバカイン

　局所麻酔薬は３種類あり歯科医院で購入して使用します。局所麻酔薬は局所に貯留させることが長時間奏功させるのに必要となります。そのため血管収縮薬であるエピネフリン（アドレナリン）やフェリプレシン（オクタプレシン）が含有されています。血管収縮薬なしであるとリドカインとプロピトカインは血管収縮の作用がなく拡張するので麻酔効果がすぐに失われます。麻酔薬が広がり流れ出てしまうイメージになります。麻酔の効果についてはさまざまな意見がありますが、一番多く使用されているのがエピネフリン（アドレナリン）含有リドカインですので使いやすいし奏功しやすい感じがします（データなしの所見）。

昔のデータでは局所麻酔の投与時（注入中・直後）に一番全身偶発症が多く55%と報告されています（全身的偶発症の発生時期（1272症例）日本歯科麻酔学会『郡市区歯科医師会アンケート』）。このようなデータからも局所麻酔投与時には術者を含めてみんな緊張します。現在、歯科衛生士免許保持者は歯科医師の管理下で適切なトレーニングを受けて局所麻酔薬の投与（浸潤麻酔）が可能と解釈されています。局所麻酔の合併症については歯科衛生士、助手を含む歯科医院で働く医療従事者は知識を持っておく必要があります。

局所麻酔時に多い訴えは局所麻酔薬の刺入投与時に痛い（多くの子供、大人が注射を嫌がる理由の一つです）。痛いことで色々なことが起こります。痛みによる交感神経刺激や副交感神経亢進の反射になります。

◯痛くて交感神経が刺激され血圧上昇、頻脈になる

◯交感神経刺激により心臓がドキドキして気持ち悪い（エピネフリンの効果、普通に起こる効果です）

◯副交感神経亢進により血圧低下、徐脈になり意識が遠のく

 

など

実は局所麻酔、特にリドカインなどのアミド型と呼ばれるもの自体に対するアレルギーは、統計的に少なくほとんど見られないと考えられています。飛行機事故は0.0009%、自動車の死亡事故率は0.33%、局所麻酔アレルギーは0.0001-0.00001%と言われています。統計的に少ないですが医療は人間に関わるものですので遭遇する可能性は低いけどあるにはある、遭遇したら対応が必要であるという認識になります。

 

　合併症の少ない局所麻酔には

　痛くない局所麻酔をする。

　ドキドキする人にはエピネフリン（アドレナリン）含有していないものを使用する。

　局所麻酔アレルギーの方には局所麻酔を使用しない。

　局所麻酔以外の含有物にアレルギーがある場合にはアレルゲンが含まれていない局所麻酔を使用する（メピバカインは含有物が少ないのでメピバカインを使用する）。

 

　となります。

　痛みを取ることは必須で我慢しながら治療をしないようにするためにも局所麻酔についての知識は重要です。